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  • 2010.03.27 Saturday
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ビタミンD

厚生労働省の研究班はこのほど、ビタミンDとカルシウムの摂取により、糖尿病の発症のリスクを「低減させ得る」とする研究結果を発表した。研究班では「一般的に日本人の食事にはカルシウムが不足しており、その摂取量を増加することにより、糖尿病を予防する可能性が考えられる」としている。

 今回発表されたのは、1990年と93年に岩手県二戸、秋田県横手、茨城県水戸、新潟県長岡、長野県佐久、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県中部・宮古の9保健所管内に住んでいた40-59歳の男女約6万人を5年間追跡調査し、ビタミンD、カルシウムおよび乳製品の摂取量と糖尿病発症との関連を調べた結果。

 研究班は乳製品の摂取量により4つのグループ(1日当たり50g未満、50-150g未満、150-300g未満、300g以上)に分類し、その後の糖尿病発症リスクを男女別に検討した。
 その結果、女性は乳製品の摂取量が最も多いグループで、最も少ないグループに比べて糖尿病発症リスクが約30%低くなることが分かった。
 一方、男性では関連は認められなかった。

 またビタミンDの摂取量と糖尿病発症リスクについて検討した結果、男女とも統計学的に有意な関連は見られなかった。
 ただ、ビタミンDの摂取量が平均よりも多い群と少ない群に分け、カルシウム摂取量と糖尿病発症リスクとの関連を調べたところ、男女ともビタミンDの摂取量が多い群においてのみ、カルシウムの摂取量が多いと糖尿病リスクが低くなるという関連が明らかになったという。

日本医療政策機構

日本医療政策機構は3月10日、同機構が実施した「がん患者意識調査」に関するメディアワークショップを開いた。同機構の市民医療協議会がん政策情報センターの埴岡健一センター長は、「なかなか現場には、がん医療のトータルなケアが届いていない。それを急いで巻き返す必要がある」と述べ、今回の調査結果を参考にしながら、政策を立案していく必要性を強調した。

 「がん患者意識調査」は、がん関連の患者団体に所属しているがん患者・経験者とその家族・遺族を対象に、昨年11月13日-12月末に実施。がん患者の声ががん医療政策に反映されているかや、がん患者が必要と考えるがん施策などについて質問し、有効回答数は1618件だった。

 この中で、昨年3月に厚生労働省のがん対策推進協議会が取りまとめた「平成22年度がん対策予算にむけた提案書〜元気が出るがん予算〜」に掲げられた70本の施策について、「あなたが必要性が高いと思われるものを10項目まで選んでください」と質問したところ、最も多かった回答は「がんに関わる医療従事者の計画的育成」(629人)。以下は「副作用に対する支持療法のガイドライン策定」(562人)、「長期療養病床のがん専門療養病床への活用(モデル事業)」(555人)などと続いた。

 調査結果は、11日に開かれるがん対策推進協議会のワーキンググループの提案書の参考資料として提出される予定だ。

 埴岡氏は、同日のがん対策推進協議会に、同じ70本の施策について医療従事者などを対象に行った別のアンケートの結果が提出されることを明らかにし、「それを突き合わせると非常に面白い」と指摘。両方で上位に選ばれているもの、片方のみで選ばれているものを検証し、両者が対話することの必要性を強調した。

看護師採用

職員数101人以上の医療機関などの事業主に対し、子育て中の短時間勤務制度の導入を義務付ける改正育児・介護休業法の6月の施行に向け、各病院の労働環境の整備が進む中、看護職員の「短時間正職員制度」への認知度が全体の38.7%にすぎないことが、日本看護協会(日看協)が昨年秋に行った実態調査で明らかになった。このうち20-24歳は17.3%、25-29歳29.3%で、子育てや出産を控える若年層の認知度が低い現状が浮き彫りとなった。日看協では、「今後、若年層が制度を活用して看護職として働き続けられる環境整備を目指して、制度の整備促進と周知に取り組んでいく」としている。

 調査は昨年10月、日看協会員の看護職員(保健師、助産師、看護師、准看護師など)のうち、層化無作為抽出した1万2311人を対象に実施。調査票を個人に郵送・配布した結果、4815人から有効回答を得た。回答者の9割以上が女性で、年齢は20-30歳代が過半数を占めた。また、職業別では看護師が8割以上で、勤務場所の大半が病院だった。

 全体から離職中などを除いた4725人に対し、短時間正職員制度を知っているか聞いたところ、「知らなかった」が44.3%と最多で、「知っていた」は38.7%、その他は「無回答」だった。これを年齢別に見ると、「知らなかった」の割合が最も高かったのは20-24歳(69.7%)で、以下は25-29歳(58.3%)、30-34歳(47.2%)などの順となり、年齢層が低くなるほど割合が高くなった。
 一方、現職場での短時間正職員制度の現状については、制度が「導入されていない」が40.3%だったのに対し、「導入されている」と回答したのは15.4%。その他は「分からない」「無回答」だった。

インフルエンザ予防

魚やキノコに多く含まれるビタミンDが、季節性インフルエンザ予防に効果があることを東京慈恵会医科大のチームが突き止めた。ビタミンDのサプリメント服用によって、発症率が半分近くに下がったという。実験結果は10日付の米臨床栄養学会誌に掲載。ビタミンDはワクチンや抗ウイルス剤のような副作用もなく、価格も安いため、途上国の予防対策としても期待できそうだ。

 同大の浦島充佳准教授のチームは、平成20年12月〜21年3月の流行期に、12病院の協力で6〜15歳の子供334人を対象に実験。半数にビタミンD(30マイクログラム)入りカプセルを、残り半数にビタミンDが入っていないカプセルを毎日与えた。ビタミンD入りグループのインフル発症率は10・8%で、ビタミンDなしの18・6%の約半分に収まったという。

 ビタミンDは、サバなどの魚類やシイタケなどのキノコ類に含まれ、体内で細胞の抗菌物質を分泌。食事だけでは十分でなく、紫外線を浴びることで皮下脂肪のコレステロールの一種がビタミンDに変わり、増える。インフルの流行は日照時間が短い12月に始まることから、これまでもビタミンDとの関連性が指摘されていたが、実証されていなかった。

 浦島准教授は「ワクチンは流行の型で効用が大きく左右される。ビタミンDはよほど大量に摂取しない限り副作用がなく、安価」と指摘。特に途上国ではワクチンが十分行き渡らないこともあり、「ビタミンDは途上国のインフル予防対策として効果がある」と話す。

iPS細胞

さまざまな細胞に分化できる人工多能性幹細胞(iPS細胞)から腸を作り出すことに、奈良県立医大(奈良県橿原市)の中島祥介(よしゆき)教授(消化器外科)らの研究グループがマウスを使った実験で成功した。これまでは平面的なシート状のものしかなかったが、管状の立体的な腸を作ったのは世界初という。患者本人の細胞から臓器を再生させ、拒絶反応なく体内に移植する再生医療や移植医療への応用が期待される。

 中島教授によると、マウスのiPS細胞をシャーレのふたの裏側に付着させ、重力に逆らって6日間培養。シャーレに移して培養を続けると、約7日後に管の形をした組織に変わり始め、2週間後には粘膜や筋肉の層などを備えた腸と同じ管状の組織に変化した。

 この組織は直径約2ミリ、長さ約5ミリ。腸に特有の「ぜん動運動」をしており、便のような老廃物を押し出そうとする動きも観察できた。小腸と大腸のどちらに当たるかは判別できないという。

 iPS細胞を巡っては、理化学研究所が大脳の立体構造を作ることには成功しているが、他の臓器は細胞シートまで。管状の臓器を作り出した例は世界的になかったという。

 中島教授は「今後は人への応用が課題。この技術を使って、腸が病気になるメカニズムを解明する研究にもつなげられる。小腸の移植は拒絶反応が激しく、合併症のない手術ができるようになるかもしれない」と話している。

生体肝移植

生体肝移植の際、提供者から切り取る肝臓のサイズを小さくできる手術法を、自治医科大と京都大の研究チームが開発した。さまざまな組織に分化する「間葉系幹細胞」を使って移植後の肝臓の再生を促す方法で、ラットを使った実験で効果を確かめた。年内にも実際の患者への応用を目指す。18日、広島市で開かれる日本再生医療学会で発表する。

 チームは、ラットの肝臓の7割を切除し、血流を一時止めて移植手術を受けた状態を作り出した。その後、骨髄から取り出した間葉系幹細胞を、肝臓につながる門脈から投与し、様子を観察した。

 その結果、投与ラットの肝臓は1週間後に切除前の重さに回復。組織に障害は見られず、肝細胞が破壊されると上昇する酵素の値もほとんど上がらなかった。一方、間葉系幹細胞を投与しなかったラットの肝臓は再生が遅れ、1週間後でも約4割軽かったほか肝臓組織にも障害が起きた。

 チームは大型動物のブタでも実験した。骨髄より採取しやすい脂肪由来の間葉性幹細胞を投与して、同様の効果を確かめた。

 日本肝移植研究会によると健康な肝臓提供者の3・5%が手術後に重い合併症を発症。切除のサイズが大きい場合、何らかの合併症が1割近くになることが分かっている。チームの小林英司・自治医科大客員教授(移植・再生医学)は「患者を助ける提供者が(合併症などで)患者になることは避けなければならない。できるだけ小さな切除ですませる安全な手術を実現させたい」と話す。

歯科治療

家庭が貧しくて虫歯の治療に行けず、かみ合わせが悪くなったり、歯が抜け落ちたりする子供の「口腔(こうくう)崩壊」が問題化している。東京都のある歯科医院の調査では、口腔崩壊の子供の家庭の半数が経済的困窮を訴えた。専門家は「継続した治療を続けさせないネグレクト(育児放棄)」と指摘するが実態は不明で「全国調査が必要」という声が出ている。

 東京都立川市の相互歯科。2月にやって来た小学4年女児は、永久歯10本すべてが虫歯だった。3歳ごろから通院しているが「ちゃんと診察に来なさいよ」と言っても次は半年〜1年後。治療した歯が虫歯になっていることも。母親は「母子家庭で生活が苦しく、子供の面倒も見切れていない」と話す。

 この歯科は08年、治療した口腔崩壊の子供の家庭24例の経済状況を口頭で聞いた。半数が苦しさを訴え、3割は失業中や1人親だった。

 「乳歯で生え変わるから」と虫歯を放置すると歯が抜け落ちた後に膿(うみ)ができ、生え変わる永久歯も虫歯になったり歯並びが悪くなったりするケースが多いという。放置が続けば、かみ合わせが悪くなって十分に食べ物をかめずに心身の発達に影響するだけでなく、虫歯の菌であごの骨に炎症が起き、発音などに影響することも指摘されている。

 一方、文部科学省の虫歯調査では、12歳児の1人平均が98年度の3.06本から08年度は1.5本に改善された。

 しかし相互歯科を含む全国1700の医療機関が加盟する「全日本民主医療機関連合会」(東京都)には、各地の歯科医から「子供に口腔崩壊が広がっている」との声が届いている。

 同連合会の江原雅博歯科部長(55)は「実態調査も検討している」と話す。総務省の家計調査(07年度)では、年収5段階の最も低い層の歯科診療代は、最も高い層の約5分の1。相互歯科の歯科衛生士の清田真子さん(31)は「親に余裕がなく、甘いものを与えて黙らせる傾向がある。親が口腔崩壊しているケースも多い」と指摘している。

白血病

白血病患者への移植治療などに用いられる、さい帯血を管理する「日本さい帯血バンクネットワーク」加盟のNPO法人「宮城さい帯血バンク」(理事長・里見進東北大病院院長)が経営危機に陥っていることが23日、分かった。同日の臨時総会で、11年度以降は事業継続が困難として、事業譲渡も含めて検討する方針を会員に示した。全国11カ所にある公的さい帯血バンクの経営危機が明らかになるのは初めて。

 東北大内に事務局を置く「宮城さい帯血バンク」は00年に業務を開始。今年2月末までに計94本のさい帯血を骨髄性白血病患者らに供給した。現在は1028本のさい帯血を冷凍保存している。

 同バンクによると、運営には職員4人の人件費に加え、感染症などの各種検査費用を合わせた年間約3000万円が必要。一方、収入の大半を占める国からの補助金は、さい帯血の採取数などに応じて定額を各バンクに配分する仕組みで、同バンクに対する08年度の支給額は1600万円、09年度は2268万円だった。さい帯血の供給1件につき約17万円支払われる診療報酬も、09年度は約200万円にとどまった。会費やチャリティーコンサートの開催で資金繰りに努めているのが現状で、年間約1000万円の赤字が続いているという

子宮癌

大阪市中央区の三宅婦人科内科医院。昨年末からワクチン接種をスタートしたところ、これまでに15人が接種した。内訳は10代が5人、20代が8人、30代が2人。ほとんどは母親の勧めで医院を訪れたという。「10代、20代ではなかなか自分自身で接種しようとは思わない。やはり何より母親の理解が必要」と院長の三宅侃(あきら)さん。三宅さんは更年期の治療などで医院を訪れる女性に対して、娘がいる場合にはワクチンについて説明し、啓発活動を行っている。

 接種した人には「ワクチンだけで絶対に子宮頸がんにならないというわけではない。検診はちゃんと受けてほしい」とアドバイスするのを忘れない。「検診あってのワクチン。ワクチンあっての検診。どちらも大切です」と三宅さんは話す。

 子宮頸がんの予防ワクチンは、発症の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、原因の大きな割合を占める2種類の発がん性HPVなどに対して効果的だ。接種によって、発症を7割程度予防できるといわれている。完全に防げるわけではないため、残りは定期的な検診で拾い上げていく必要がある。しかし、国立がんセンターがん対策情報センターによると、日本での検診受診率は21・3%(平成19年)にとどまる。

 ≪海外では無料接種≫

 大阪市内で今月6日、大阪産婦人科医会が主催した子宮頸がん啓発セミナー「子宮頸がんは予防できます−お嬢さんを子宮頸がんから守りませんか」。講演に立った島根県立中央病院母性小児診療部長の岩成治さんは、子宮頸がんの予防ワクチンに関する説明を行ったうえで、「お嬢さんにはワクチンを、お母さんには検診を」というフレーズを紹介。集まった母親や医療関係者ら女性約250人を前に「ワクチンと検診をセットで受けてほしい」と何度も強調した。

 日本赤十字北海道看護大学准教授のシャロン・ハンリーさんは、オーストラリアの学校では無料でワクチン接種が行われ、イギリスでははしかやポリオと同じように接種している、といった海外の事例を報告。さらにイギリスでは子宮がんの検診受診率が高く、「私も大学生のときから受けています」と打ち明けた。

 ハンリーさんは「母も、叔母も、近所の人もみんな受けており、紅茶を飲みながらみんなで検診の話をする。検診が終わると買い物をして外食するので、楽しいイベントのよう。イギリスでは検診は大人になったら当然やることと受け止めている」と話し、ワクチン接種だけでなく、検診の重要性も訴えた。

 ■検診の受診率、宮城がトップ

 子宮がん検診の受診率は都道府県によってばらつきがある。国立がんセンターがん対策情報センターによると、平成19年の都道府県別受診率(20歳以上)は宮城の31・0%がトップ。以下、山形、秋田と続く。逆に、低いのは山口(16・6%)、兵庫(16・8%)、和歌山(17・6%)で、“東高西低”の傾向が見られた。

新薬

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会は3月24日、武田薬品工業のロゼレム錠(適応=不眠症における入眠困難の改善)など3品目の承認の可否について審議し、承認を了承した。併せて厚労省から承認する方針が報告された10品目についても了承した。これを受け、厚労省は4月中に正式承認する。武田薬品の製品が13品目中、5品目を占めている。

 審議・承認了承となった新薬3品目は、既存薬にない新しい作用メカニズムを持つ。ロゼレムは「メラトニン受容体作動薬」で、厚労省は「既存薬で問題となる記憶障害や離脱症候といった副作用が起こりにくいのが特長」としている。参天製薬のジクアス点眼液(ドライアイ)は、涙液構成成分や水分の分泌を促進する「P2Y2受容体作動点眼薬」で、新しい治療選択肢となる。アレクシオンファーマのソリリス点滴静注が適応とする「発作性夜間ヘモグロビン尿症」の患者数は全国で430人で、うち重症の100人前後が投与対象になるという。

 報告・承認了承となった新薬10品目のうち、武田薬品の製品は▽ネシーナ錠▽メタクト配合錠(共に2型糖尿病)▽ユニシア配合錠(高血圧症)▽ベクティビックス点滴静注(結腸・直腸がん)―の4品目。

 このほかの6品目は、▽日本アルコンのデュオトラバ配合点眼液(緑内障、高眼圧症)▽田辺三菱製薬のレミケード点滴静注用(強直性脊椎炎の適応追加)▽ファイザーのリリカカプセル(帯状疱疹後神経痛)▽久光製薬のフェントステープ(中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛)▽万有製薬のコソプト配合点眼液(緑内障、高眼圧症)▽協和発酵キリンのネスプ注射液(腎性貧血を適応とする新投与経路・新効能)―。